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作文指導〜「書き出し文の指導」



1.はじめに

 「書き出し」の一文に限定して指導する。
 読み手を引きつける作文は、ほとんどの場合において「書き出し」で決まると言っても過言ではない。
 およそ、名作と世に知らしめる著作は、実に書き出しのたった一文で読み手の心を引きつけてしまう。
 表記の仕方や原稿用紙の使い方の指導ももちろん欠かせないが、魅力的で一瞬を描写する書き出しの文が書けるようになると、作文に苦手意識を持つ子供も集中して楽しく原稿用紙に向かうようになる。
 以下の記録は本実践の向山洋一氏並びに伴一孝氏の修正追試である。

 

2.授業の流れ

 原稿用紙を2枚配る。
 久しぶりの原稿用紙での作文だったので、まず始めに簡単に書き方を確認した。

指示1 修学旅行の思い出を作文にします。
二行目、上からマス三つ、丸を書き入れなさい。
書いたら隣同士確かめなさい。

 テンポよく指示を出していく。

指示2 四つ目のマスから題名を書きます。今は書きません。出来上がった最後に書きます。
 次の行、下からマス一つ目に丸を書き入れなさい。できたら隣同士確かめます。

説明1 その丸の上のマスが名前の終わりになります。
(板書しながら)姓と名の間はマス一個あけます。こんなふうに名前を書いてごらんなさい。

 

説明2 さて、一行あけて、本文を書き始めます。
もちろん最初の一字目は一マスあけます。


 
原稿用紙の使い方は、指導済みである。
 ちなみに、このサイトはチョーおすすめである。→「えんぴつくんの作文教室」

指示3 では、書いてごらんなさい。
ただし、始まりの三行くらいでいいです。書けたら持ってらっしゃい。

 書けないでいる子には、「最初の一文だけでもいいから、書いてごらん。」と助言する。
 速くできた子には、ノートチェックして最初の一文だけ板書させた。5名に書かせた。
 3分後、全員の作業を中断させた。

指示4 黒板に書かれた「書き出しの文」に点数を付けます。書いた人は読み上げてください。

次のような文が読み上げられた。

○ ぼくたちは○月○日修学旅行に出かけてきました。・・・・・・・30点
○ 修学旅行で一番楽しかったのは、「べニーランド」だ。・・・・・・50点
○ 朝5時に目が覚めて、朝食をすませ学校に行った。・・・・・・40点
○ わたしたち160名は全員そろって元気に待ちに待った修学旅行に出かけてきました。・・・35点
○ 楽しい思い出と言えば、みんなと遊覧船に乗ったことだ。・・・・・55点

指示5 今から先生がある人が書いた書き出しの文を読みます。
これらの文とどこがどう違うのかよく聴いていなさい。

ここで、事前に用意しておいた「よい書き出し文」の例文を紹介する。

以下のようなものである。

<例文>
○波しぶきと共に遊覧船の中に吹き込んでくる初夏の風が、優しく私の頬を撫でていく。
○「うわぁー。」今、私は「ベニーランド」の絶叫マシンのてっぺんにいる。
○ 「ドキドキドキ。」「ガッタン。ガッタン。」心臓の高鳴りとジェットコースターの車輪音が複雑に入り交じる。
○ 宿のふとんに横たわる私。心地よい疲れはあるものの、妙に興奮して寝付けない。

 少し間をおいてから、尋ねる。

発問1 みなさんの書いた書き出し文と比べて、今聴いた文のどんなところがいいなぁと感じましたか。感想でもいいです。だれでもいいですから自由に立って発表しなさい。

 発表させ、ポイントをしぼって板書する。

(板書)
①当たり前のことを、例えて(比喩)言い換え。
②感じたことや気持ち(感情)を別な言葉を使って。
③小説家みたい。
④常体文で語尾が体言止め。
⑤今まさにそこにいるようだ。
⑥「」で始まっている。

 よさを発見できたことを大いに誉め、以下のように補足した。

説明3 どちらがかっこよかったですか。(「先生が読んだ文。」の声)
作文というのは、一番頭、心、目に焼き付いている瞬間部分から書くとよいのです。それは、読み手を一気にぐいと引きつけ、さらには書き手の自分もまた強烈な印象を一気に思い起こしながら鉛筆を走らせることができます。作文をビデオに例えるなら、一こま一こまを静止画にして、スロー再生して文にしていくのです。
 つまり、一番「おいしいところ」から書き始めるということです。
 作文のできは、書き出しの一文で半分くらい決まるのです。

 子供たちは「なるほど。」という表情で静かに聴いている。

指示6 それでは、新しい気分で、もう一度書き出しの文を書いてごらんなさい。今の原稿用紙は寄せて、別の新しい原稿用紙に書いていきます。書き出しの行は、先ほどと同じ所から書きます。
(   )さんが言ったように小説家のようにちょっとキザに書き始めてみましょう。そのためには、どんどん辞書を引いて新しい言葉や漢字を使ってみましょう。三行くらい書いたらば、持ってきてください。はい、始めなさい。

子供たちは、一斉に書き始める。先ほどよりも心なしか表情も真剣である。
教室はぴーんと張りつめた集中した空気の中、鉛筆を走らせる音だけが響く。
できた子供が、順に持ってくる。
他の子供の刺激になるように、教師は大きな声で読み上げ、誉めていく。
次から次へと、先ほどとはうって変わった「すてきな書き出しの文」が出てくる。
あとは、次のように指示するだけである。

指示7 とってもすてきでドキンとする始まりですね。この調子で一こま一こまをずっと書いて行きなさい。原稿用紙は一枚でいいからね。できたらば、題名つけなさいね。他の人が考えないような題名をね。題名は、あなたのすてきな作文の分身ですからね。

子供たちは、時間いっぱい原稿用紙に向かい、一枚の作文を仕上げることができた。


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