(C)Two-way/小学校/総合/福祉/ボランティア/車椅子の授業 制作・実践:三村 弘
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´99.10.22
NO.75
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ボランティアの授業 〜車椅子の体験 |
1.はじめに
バリアフリー商品・町で見つけた身近なバリアフリー(点字ブロック等)・目隠し作業体験・ブラインドウォーク・点字の学習・手話や指文字の学習等、3年生と6年生を対象にボランティアの学習を試みてきた。
今回は、車椅子の授業である。
実施学年は6年生。卒業学年の子供たちに是非とも車椅子の体験をさせたいと計画していただけに、実践後は何とも心地よい充実感があった。
当然のことながら、この授業においては、車椅子の確保が不可欠である。それも、可能な限り台数は多い方がいい。運搬等を考えれば、精々10台が限度であった。それでも予想以上に多く借用できて満足している。
本校の6学年は1クラス33人であるから、3人に1台で理想的である。この度の実践は、TTの授業であったため、2クラスで10台であった。したがって、6〜7人に1台の割り当てであった。
せっかくの機会でもあったので、6年生全5クラス同日に、拙い授業案を各担任の先生方に参考までに手渡し、各クラスで実践してもらった。
もちろん、全職員にも呼びかけた。
本時のねらいはこれである。
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車椅子の体験をすることで、車椅子の基本的な介助の方法を知り、車椅子を使う人への理解を深める。 |
車椅子体験のキーワードを触れる・操作する・介助するの3点と考えた。
他のボランティアの授業もそうであったように、この車椅子の授業でも実に驚くような子供の反応が見られた。
さらに、指導者(教師)もまた、その子供らの生き生きとした活動ぶりに心揺さぶられる思いであった。
授業後、同学年の先生からこんな言葉を戴いた。
「下手な算数の授業よりも、よっぽどいいわ。いい機会をありがとうございました。」
2.準備
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3.授業の流れ
車椅子2台の周りに全員を集合させて座らせた。
開いている物と閉じている物二台を提示して、全体に問う。
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全員が知っていると答えた。
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「病気や事故などで足の不自由な人」「一人で歩くことに困難な人」「寝たきりのお年寄り」など「移動するときに使う」道具である。
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一人指名してやらせてみる。経験のない子は、当然ながらまごついている
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全員の前で教師が、ポイントを押さえつつ演示してみせる。
今回は車椅子の前に立って開いたが、座らせる人の状態によっては、後ろに回りステッピングレバーを両手で左右に開くという方法もある。
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ここまでは、あまり時間をかけずにテンポよく進める。
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後の活動を考えると、短い距離で充分であろう。回転させてもよい。
子供たちは、おそるおそる操作しながらも初めての車椅子に興奮気味である。
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安全面とスムーズなグループ活動状況にだけ目配せして、できるだけ教師は口を挟まないようにする。
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この辺りで数名に尋ねてみる。先程とは違った反応があるはずである。
予想通り、ももの筋肉を使うので操作しにくいとの声。
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TTで行った授業であったため、ここで2つの集団に分かれての体験活動をすることにした。
1クラスで実施するのであれば、以下のⅠ、Ⅱの活動を順に行えばよいと思われる。
Ⅰコース・・・車椅子を押して進む介助体験
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テンポよく全員に体験させる。移動距離はそんなに長くなくてよいと思われる。
意外に速度を感じるものだということを体感できればよい。
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先程よりは、やや時間をとって体験させた。
待っている子供にはプリントに感想を書かせるなど指示しておいた。
Ⅱコース・・・段差越えの介助体験
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障害物、階段、段差などが出された。ここでは段差を取り上げることにする。
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時間があれば、一人ずつ体験させてみたいところであるが、口々に言わせた。
子供たちからは、「持ち上げる。」などの意見もあったが、具体的にどうすればよいか分からないようである。
そこで、教師の方で説明しながら演示した。
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可能な限り口を挟まないようにした。よくできた子は大いに称賛した。
やってみて気づいたが、やはりペアは同じくらいの体格の子供同士の方が良さそうである。
たった10cmそこらの段差でさえ上手く越えられないで奮闘している子供もいる。
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自由に発言させてみる。「後ろから」と言った子には、何故かを問うた。
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当然のことながら、落下転落の危険防止のためである。
「下りるときは後ろから」というのは、車椅子介助の基本である。
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これも演示するべきである。実態・状況に応じては、上がり下りを同時に扱ってもいい。
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Ⅰコースの場合と同様、順番待ちの子供には感想を書かせるなど指示しておいた。
時間を決めて、Ⅰ・Ⅱの体験を交互にさせる方法をとることも考えられよう。
何度も言うが、車椅子の台数・活動場所・対象人数によって、場の構成や内容も変わってくる。
一学級で行う場合であれば、あえてコース別にする必要もないし、クラスの状況や実態に応じて臨機応変に修正すればよいと思われる。
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できれば、時間の許す限り、自由試行させたいところである。
しかし、何ぶん一単位時間の構成で限られた場所での活動であるだけに、充分とは言えないのが惜しまれた。
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最後は、全員集めて授業の感想を書かせ、何人かに発表させたかったのだが、やはり時間不足。
以上のように話をして授業を終えた。
4.おわりに
場所・時間・台数(人数)によって、いくらでも修正や工夫は可能だが、今回に限ってはこの展開例が精一杯であった。
体験活動は、頭で考え言い合うような道徳的理念をこえ、心と体に直接的に訴えてくれる。
喜々として楽しむ姿の中にも実は、車椅子に乗る人達の視線を健常者である自分の視線とダブらせて、体感する自分の姿を子供たちは発見することができたと思っている。
そういう意味から、実に貴重な体験学習であった。
そしてまた、私自身も、他の機関や人と関わることができた体験は大きい。
こういうコネクションを今後は大事にして行きたいものである。
「ボランティアとは、社会の風を吹き込んでくれることです。」以前、研修で訪れた福祉施設の副所長さんがおっしゃっていた言葉が、頭をよぎった。
これからも人との出合い・触れ合いを求め、本物のボランティア教育を目指して行きたい。
最後に、以下のことを今後の課題として記したい。
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