NO.15
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詩の授業〜 スイッチョ |
1.はじめに
本作品も、向山型「分析批評」の授業の追試教材として、多くの実践家によって数多くの指導記録が残されていてよく知られている。
原実践は、石岡房子氏である。
ところで「分析批評の授業」について、向山氏は、次のように述べている。
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私自身、今のところは、フルコースのうちの「3言葉を検討する討論の授業」を目指す。
したがって本教材での授業も、言葉を根拠にすることを要求し、根拠を問題にすることで、各々の論が噛み合っていくような学習活動を仕組んでみたい。 そのためにも、先行実践をできるだけ、ありのまま追試してみることが近道と思われる。
2.指導にあたって
① 一つの言葉に心を注いだ音読を大切にする。
② 局面を限定し、音読や読みの評価をし、向上的変容を促す。
③ 話し手である「よしお」の心情を推し量る伏線の発問から、心情に迫る中心発問へと展開を試みる。
④ 文や言葉から離れた思い込みの発言を修正させ、あくまでも言葉から証拠を見つけ出すような考え方を培う。
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3.授業の流れ
3年生に行った授業記録である。
印刷した詩のプリントを配布後、以下を板書し、範読。(読めない漢字にはルビをふらせる。)
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「軒」「床」「ふいに」が挙がったので、辞書で調べさせた。
こういう、子供たちが日常の生活において遠ざかりつつある言葉に着目させ、その意味をきちんと知ることは、極めて大事なことである。
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全員着席したのを確認してから問う。
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ほぼ全員が、「4連」と答える。
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全員声を揃えて「おじさん。」 笑顔でうなずき、次の指示。
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全員付け終わったのを見計らって、下位の子に指名し、答えさせる。
正解は『長い足が・・・・・お安くしておきますよ』である。
「よくできました。」と大げさに誉める。
誰でも分かりそうな問題は、普段目立たない子や下位の子に当てて発言させる。自信を持たせ、全員参加を促す一つの原則である。
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これも意外にすぐ「第3連。」と全員が答えた。「すごい!」と誉めて「 」を付けさせる。
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どの子も「あかあさんだ。」ということを理解している。
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列指名で一人ずつ声を出して読ませる。瞬時に評点を付けていく。
「50点。」「30点。」「70点。」というように・・・。
向山氏が、この詩教材で飛び入り授業をしたことは有名だが、その時もこの場面で同様の「指導評価」をし、見事な逆転現象で“読み”の“気付き”を引っ張り出している。
自信なさそうに「小さな声」で読んだ子に「90点!」と評定したのである。
次の連の始まりに「おかあさんが小声で言ったが」とあるので、大きな声で読んではいけないのである。
そこで次のように指示する。
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全員着席後、別の列の子供一人一人に読んでもらう。
明らかに音読の「向上的変容」を見ることができた。
当然の事乍ら「90点。」「100点。」は続出し、大いに誉めることになる。
次に中心発問へのステップの発問である。いわゆる伏線である。
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と言って、ノートに書かせてから意見の検討にはいる。
以下の意見が出された。
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原実践通り、予想された「思い込み発言」が出てきた。
文から遊離した、想像を働かせて考えた意見である。
そこで次のように問う。
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指名なし発言で、以下のような意見が出た。
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この2つの意見には全員納得。①と④はすぐに取り下げられた。
しかし、②、③については納得させるだけの根拠もなく、ついには、⑤の「分からない」が大半をしめた。
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このように話して、中心発問に移る。
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「心なしか」という言葉の意味が分からなければ、辞書で探り当てるように指示して、考えさせた。
二度目に6年生に授業したときは、言葉の部分を虫食いとして考えさせず、次のような問いかけをしたこともある。
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これはこれで、おもしろい討論になる。
さて、3分後、書いた子を全員起立させ、一人ずつ自由に発言させ、その後座らせた。
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以上のものが出され、できれば、ここで討論の形に持っていきたかったが、時間切れで断念した。
ここは、この詩の主題と直結する部分である。
どれだけ、よしおの心情に迫ることができたか評価できる。
原作を紹介して、授業を終えた。
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討論はできなかったが、言葉にこだわることの大切さを知った授業になったと思われる。