(C)Two-way/小学校/総合/福祉/ボランティア/点字 制作・実践:三村 弘
´99.6.19
NO.74
|
ボランティアの授業Ⅲ〜点字のひみつ |
1.はじめに
新指導要領では、いよいよ福祉・健康の教育は強く打ち出された例示として、学校教育の中で確実に取り上げなければならなくなった。
これによって、ボランティアの授業に批判的・消極的であった教師たちも、いよいよ重い腰を上げねば、新時代に生き残れないような危機感さえオーバーに言えば感じているはずである。
私自身も、偉そうなことは言えないのだが、今から3年ほど前からボランティアの授業の重要性を少なからず感じ、拙い実践を、日本で唯一のボランティア教育雑誌「JVE〜ジュニアボランティア教育(東京教育技術研究所)」をたよりに、その先行実践に触れながら追試という形で行ってきた。
実際の教育現場においては、「道徳の時間」で扱うことが多かったが、これからは「総合的な学習の時間」の中で、さまざまな形でボランティアの学習を試みて行く必要があるだろう。
さてボランティアの授業だが、これといった教材・教具も現場に充分揃っているわけではなく、まさに、自分の手で先行研究を収集し修正追試をしながら授業化してきた。
バリアフリー、目隠し体験、ブラインドウォーク、手話等、年間7〜8時間程度ではあるが、何度か意図的に指導計画に組み込み実践してきた。
拙い記録も残してきた。
まだまだ、新しい独自の発想のもと、試みてみたい教材開発・授業開発は山ほどあれど、徐々に実践という事実を積み重ねて行きたいと思っているところである。
まずは、やってみることである。
理論は後から導かれるもの、導いていけるものと考えている。
我々教師は、目の前の子供に、どういう体験や学習活動をさせ、どんな力をつけさせたいのか、それを第一に考えるべきである。
教師は理論を語る前に実践人であるべきだと、常日頃から思っている。
ところで、これまでのボランティアの授業の試みから、ささやかではあるが、確かな手応えを感じたことがある。それは、子供が本質的なところで変わるということである。
ブラインドウォークなどの疑似体験をすると、頭で分かっているつもりが心と体はウソをつかないということを、子供たちは実感としてとらえるのである。
再度言おう。ボランティアの授業を積極的に試み、実践してみることだ。そうすれば、必ずや、見えなかった子供の心の揺るぎや心の表情、そして教師の授業観そのものが変わって行くことだろう。
ボランティアの授業を終えた後の授業感想文を以下にいくつか紹介しよう。
|
<子供の感想文〜ブラインドウォーク6年生> ・最初は、こんなのすごい簡単だと思ってたけど、やってみたら、怖くて不安でたまらなかった。今でも手がふるえています。(m・n) |
2.超すぐれもの点字三兄弟?点字三教材!
さて、今回紹介するのは、実際に点字をうってみて点字に慣れ親しみながら、点字のひみつに迫っていこうとする実践である。
使用した教材・教具は、「あかねこ点字スキル」(光村教育図書)「学習点字ペン」「点字カルタ」の点字三兄弟ならぬ点字三教材である。これらは、全て東京教育技術研究所で取り扱っている優れものである。日本で初めての画期的なボランティア教材と言っていい。
まず、これらの教材が何故優れているか、どこがどうすばらしい教材と言われる所以なのか、明らかにしてみる。
私が実際に授業で活用してみて、確かに得たことを事実として述べたい。
|
あかねこ点字スキル |
① 薄くて、中味に無駄がない。
② このまま、その通りにページに従って作業させるだけで授業になる。
③ 突起のある特殊加工された点字一覧表が付録として付いている。
④ タイトル・文字が大きく、ルビもふられていて見やすく低学年から使える。
⑤ 安い。
| 学習点字ペン |
① 鉛筆感覚で手軽である。
② インクを押し出し丹念に付けていく作業は、適度な緊張感を保ち、どの子も夢中に取り組む。
③ 15分位たたないとインクが乾かない。したがって、どの子もていねいに慎重になり集中度が増し、できあがりの期待感が膨らむ。
④ インクがなくなるまで、何度も繰り返し使えるので使い勝手がいい。
⑤ 乾いたインクは、爪で削り取れるので、修正もたやすくできる。
|
五色点字カルタ |
① 五色百人一首と同様、色分けされているので、学習ステップを組みやすく、分割して視覚に訴えた学びができる。
② 読み札の言葉そのものが、バリアフリーの理念に基づいているので、知らず知らず子供の耳や心に沁み込んでいく。
③ 表バージョン・裏バージョンがあり、レベルアップに応じてパターンを変えたバージョンアップのカルタ遊びが楽しめる。
④ 男女仲良くなり、集団の人間関係が良好になる。
⑤ 繰り返し何度もゲームを楽しむうちに、点字を自然と容易に覚えてしまう。
⑥ いつでもどこでもできる。教室においておくだけでいい。
3.点字のひみつ〜点字に慣れ親しみ、実際に点字をうってみよう!
それでは、点字ペンを使った点字の授業実践を紹介することにする。
なお、この実践は、「親子ふれあい参観日」において対象を六年生に実施したものである。
|
|
(授業の流れ)
事前に点字ペン以外、学習用プリント等は配布しておく。
|
|
すぐに「点字」と声が上がる。そこで黒板にカードを貼り、点字の仕組みについて簡単に説明する。
|
|
|
|
|
|
できたら、②をやらせる。「か行」である。
「あ行」「か行」ができたところで、次のように問う。
|
|
・「あ」は①の点。「か」は①+⑥の点。
|
|
・「い」は①+②の点。「き」は①+②+⑥の点。
|
|
子供たちは、容易に⑥の点があるということに気づく。
|
|
|
|
点字一覧表を見ながらやらせてもいい。全員できたのを見計らって問う。
|
|
・「⑤+⑥の点が付いている。」という声。
|
|
このように、「た行」「な行」についても同様にその違いについて気づかせていく。
ここまでの板書は以下の通りである。
|
(板書) |
|||||
|
●− |
●− |
●● |
●● |
−● |
|
|
あ い う え お |
|||||
|
|
ここまでくると、余計な指示は要らない。子供らは自力でできる。
この教材の通りに進めて行けばよいだけである。
右側に載っているのは、「濁音」「半濁音」「拗濁音」「拗音」「拗半濁音」「長音」「促音」についての説明と点字読みの問題である。
「は行」から「ん」まで一通り書き込めたところで、全員で確認する
|
|
と言って板書を書き加える。
|
|
|
|
ここで点字ペンと練習用紙を渡す。子供たちはいよいよワクワクして来る。
もちろん参観している親の方にも点字ペンを渡した。
|
|
あとは、子供たちに自由に活動させる。教師は見守ってあげるだけでよい。無用な助言はいらない。
だまって集中して活動している子供の姿がそこにある。
親子で、楽しそうに点字をうっている姿が、ほほえましくとても印象的であった。
4.おわりに
今回紹介したのは「点字の学習」であるが、ボランティアの学習を行う際にはやはり、一つの大きな流れの中で単元及びユニットを組んで、年間計画に位置付けて行うのがベストである。
点字の学習そのものに関しても、1時間かそこらの授業で点字に慣れ親しめたなどとは思ってもいない。
言わば、一つの興味・関心付けであり、ボランティア教育の入門にすぎない。一連の学習全体計画の中で1つ1つ着実に根付いていくものだからである。
そのためには、一つのクラスで行われていて隣のクラスでは行われていないとか、この学年で実施したが他学年では一切実施されていないという現状を、やはり変えて行かねばならないだろう。
そういう視野に立ったとき、初めてボランティアの授業が全校的な取り組みとして、そして、総合的な学習として機能し、学校全体を活性化させていくものであると考えたい。
そのための努力を、少しずつ実践を通して積み重ねて行きたいと思っている。

<点字ペンでの点字学習〜親子で集中!>