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ちいちゃんのかげおくり 石うすの歌 三年とうげ ねずみの作った朝ごはん 注文の多い料理店 モチモチの木

文学教材の精読主義の克服
    〜物語教材の主要発問例(6題)

1.気持ち悪いほど気持ちを問う授業よ、さらば!

 

 「この時の主人公の気持ちを考えましょう。」

 「この時、○○は、どんな気持ちだったんだろう。」

 「〜は、どういう意味ですか。」

 「その後、○○は、どうしたの。」

 1時間の授業の中で、このような発問が次から次へと行われ、子供たちは本文に書いてあることを一問一答型で答えて行く。あるいは、どう言ってもどう発言してもいいような思いつき発言が教室の宙を舞う。

 しかも、1教材を10数時間も扱い、単元を終える。

 こんな授業が毎回行われれば、子供は、物の見事に国語嫌いになるであろう。

 教師もまた、このような授業を楽しんで行っているとは思えず、まさに機械的に時数を消化しているようにすら思える。

 子供たちは、少なからず文学作品との出合いにおいて、その子なりの感動を多かれ少なかれ持ち得ているものである。

 その新鮮なみずみずしい感動は、学習配当時間と比例して悲しいかな薄れていくのである。

 本文をなぞる発問や「どう言ってもいい」気持ちを問う発問の繰り返しからは、文章の論理を読み取り、子供の思考を促す力は生まれてこない。「なぞりと確認」(野口芳宏氏による)で「詳細な読解」となり、国語嫌い・一問一答に陥る。

 

 市毛氏の指摘する授業のあり方に対する次の警鐘をしっかりと受け止めたい。


 教師たちは、教科書の文章をひたすら解説していれば授業になるという、身についた気楽な稼業をなかなか離れようとしない。
 

 見れば分かるような程度の発問は、子供の頭をフルに使わせ思考を促すような授業に成り得ないのだ。

 

2.文学教材の精読主義を克服する

 

 それでは、精読主義とは、どういうことをいうのであろうか。また、精読主義を克服するということはどういうことなのであろうか。

 新指導要領では「伝え合う力」が重要視されている。即ちコミュニケーション能力こそ、21世紀に培う力として明記されているのである。

 また、内容の取扱いに関しては、「文学教材の詳細な読みを改め」ようという主旨が強く見受けられる。これは、まさにこれまでの国語科の授業のあり方を問う課題を浮き彫りにしたものであり、私達教師は真摯に受け止めねばならない。

 そこで精読主義を次のように定義することにする。


いくつもいくつも文に取り憑かれたように、長時間かけてなぞりながら同じような発問を投げかける授業スタイル
 

さらに、具体的に言えば次のような授業である。


○すみからすみまで、教材を全体精査する授業
○1教材多時間配当の授業
○根ほり葉ほり、のべつまくなしに詳読する授業
○場面を輪切りにし、1文1文ていねいになぞる授業
○文学作品の面白さ魅力から遠ざかっていく授業
○国語の何の力がついたのか不明な授業

 

 これが、現状の課題なのである。

 では、この「精読主義」を「克服」するためにはどのような授業が望まれ、どんな考え方を持って変革を図るべきなのか以下に記したい。

 

 去る平成10年11月13日、上越教育大学学校教育学部付属小学校を会場に「第2回国語科改革フォーラム」が開かれた。そこに参加させてもらったが、その時のテーマが「文学教材の精読主義を克服する」であった。シンポジウムでは、参加された講師の先生方からそれぞれの考えや意見が出され討議された。

 そこでの提言を三村メモから拾って書き記すことにする。


市毛勝雄氏(早稲田大学教授)

・「詳しく読む」という活動が、どういう意図でなされるのか、その課題の設定が大事なのである。
・文学教材の詳細な読みというものは、言わば、「大人の小説の読み」である。創作童話なるものは4年生から出てくる。小説の場合は、場面毎が生きた命を持つ。教師は童話的読みではなく、小説的読みにしようと指導していないだろうか。

 

 


野口芳宏氏(北海道教育大学教授)

・長い作品を全文通読し、大事なポイントだけに力を注いだ授業を提案する。それ即ち、全体精査から部分精査(焦点精査)の授業へと変えてくべきである。
・子供が読み間違うであろう、指導を与えなければ子供の浅はかな読み取りを修正できないであろう部分を、主体的に抜き出すことが肝要である。
・それなしに、精読主義は克服できない。

 

 


庭野三省氏(新潟県川西町立千手小学校教頭)

・長編を読むということは大切なことだが、子供にとって苦しいことでもあるということをまず認識しなくてはいけない。
「一心に読む」と言う活動を授業の中に取り入れて欲しいものである。
・そのためには、「本文全体を読む」「速く読む」「目をさらにして読む」「読み浸る」ような発問を用意すべし。

 

 


瀬川榮志氏(中京女子大学教授)

・子供たちの自分の力で最後は読んでいけるようにすることが大事である。
 

 


中野英康氏(上越教育大学学校教育学部付属小学校教諭)

 精読中心の授業を改善するために、次の3点に力点を置く。
 ①物語の読み方が分かる授業にする。
 ②教科書教材にかける時間を少なくした単元にする。
 ③読書(多読)の時間を大胆に取り入れた単元にする。

 このことによって、次の教材や文学作品を自分の力で楽しく読んでいくことができるようになること、そして読書(多読)に結び付いていくような授業を展開していくことが望まれる。
 

 以上のような提言を元に、これからの文学教材の指導のあり方の方向性を基本的考え方としてまとめてみたい。


○精読する必要までないというのではない。ここではこう読めばいいという読み方に子供たちが気付いていくことが肝要なのであり、読み所においては、やはり、しっかりと読むことが大事である。
○すみからすみまで説明しようとするから、文学教材が難しく感じられていく。全体精査から部分精査(焦点精査)の授業へと転換を図らなくてはならない。
○1教材多時間配当をやめ、作品をまるごと読むような多読が大事である。そのためにも、集中して本文を速く読ませる技術を付けさせていかねばならない。
○読書生活につながる授業。厳選した発問で構成される授業。ストーリーの面白さを体得させる授業。音読を核とした物語理解の授業。
○教科書教材以外の優れた文学にも子供たちに出合わせていくこと、そして人生に働きかける文学教材を望ましく読んでいくのが国語教育である。

 

 

3.精読主義を克服する主要発問例

 

Ⅰ「ちいちゃんのかげおくり」(光村3年下)

 

(1)このお話の季節は何ですか。

「夏の始めの夜(朝)」と書いている。

(2)この物語は、いくつの場面(事件)からなっていますか。5つ

(3)この物語で一番時間が速く感じるのは(スピード感がある)のは何場面ですか。→Ⅱ

(4)この物語で一番ゆったりとしていて、夢のような場面は何場面ですか。    →Ⅳ

(5)ちいちゃんは、この物語の中で何回人と手をつないでいますか。

→3回(・家族でかげおくり・空襲時・おばさん)

(6)この3回のうち、一番強く握っているのはどこの場面でしょう。→分からない。

(7)お墓参りに誘ったのは、誰だと考えられますか。→おそらく父。(「つれて」とある。)

(8)かげおくりをお父さんから教えてもらった日、ちいちゃんは次の日にお父さんが出征するということを知っていますか。

→知っているかどうか書いていないので分からない。

(9)かげおくりが記念写真になるのは、なぜなのですか。

→4人家族が平和に生きているという証。

(10)「広い空は、楽しいところではなく、とてもこわいところに変わりました。」は、色で言えば何色から何色に変わったとイメージしますか。

→青から黒。

(11)ちいちゃんは、家の焼け跡であ母さんとお兄ちゃんが必ず帰ってくると信じています。それが分かるちいちゃんが言った言葉はどれですか。

→「お母ちゃんとお兄ちゃんは、きっと帰ってくるよ。」「おうちのとこ。」

(12)家族4人でした「かげおくり」とひとりぼっちでした「かげおくり」を比べて、あなたからみて、どちらがちいちゃんにとって幸せだったと思いますか。

(13)最後の場面と戦争中の時代を対比しましょう。

→・それから何十年←→夏の始めのある夜・いっぱい家がたって←→家は焼け落ちてなくなって・青い空←→こわいところ、暗い、くもった・きらきら笑い声をあげて←→さけんで泣くのをやっとこらえて

(14)ちいちゃんが、あの世に旅立ったのは、空襲から何日目の朝ですか。→3日目の朝

(15)「家族みんなのかげおくり」が、最後には何のかげおくりになりましたか。

→「ちいちゃんのかげおくり」

(16)ちいちゃんは、幸せでしたか。不幸せでしたか。

(17)いくら戦争と言えども、奪えないものがあります。何だと考えますか。ノートに自分の考えを書きなさい。→人間の幸福への願い等

 

Ⅱ「石うすの歌」(光村6年上)(発問のみ)

 

(1)登場人物を全てあげなさい。

(2)主人公(中心人物)だれですか。

(3)簡単に言うと、何がどうしたお話なのですか。「〜が〜した話」と書きなさい。

(4)対役はだれですか。

(5)この物語で千枝子が今までになかったような事件(出来事)はいくつありますか。そして、それは何ですか。

(6)この物語全体を起承転結に分けなさい。

(7)「石うすの歌」と同じ意味で別の言い方をしているのは何?

(8)石うすは登場人物ではないのですか。ならば何ですか。

(8)P56.9に「もう一つうれしいこと」とある。1つ目の嬉しいことって何ですか。

(9)P59最後の行「やっと分かった瑞枝は」とありますが、瑞枝は何をやっとわかったのですか。

(10)P63.12から敬体文になっているのは。なぜですか。

(11)千枝子を変えたものは、ずばり何ですか。

(12)この作品の主題は何ですか。「およそ人は、〜である。」という文で簡単に書きなさい。

(13)千枝子と瑞枝が回している石うすは、スムーズに回っていますか。回っていませんか。

(14)「勉強せえ。勉強せえ。つらいことでもがまんして。」という歌を聞いたのは誰ですか。瑞枝には聞こえていますか。

(15)「石うす」が、象徴しているものは何ですか。

(16)クライマックスはどこですか。

 

Ⅲ「三年とうげ」(光村3年上)

 

(1)この物語は、いつの季節に起こったお話なのですか。

→秋・P85.10ぬるでの木のかげから・P81.1ある秋の日のこと・P81.4〜5白いすすきの光るころでした。

(2)登場人物を全てあげなさい。

→おじいさん、おばあさん、トルトリ

(3)主人公(中心人物)は誰ですか。

→おじいさん

(4)この物語は、言い伝えであるように書かれています。そのことが分かる文を探しなさい。

→P89.1〜したということです。

(5)「とうげ」とは、どういうところをいうのですか。簡単な絵を描きなさい。

→山の坂路を登りつめたところ。山の上りから下りにかかる境

(6)おじいさんが、三年とうげで、こしをおろしたのは、「行き」ですか。「帰り」ですか。→帰り

(7)どうしてここに腰をおしたのでしょうね。

→AながめるためB休むため、Bであると思われる。

(8)P81.1行目「ある秋の日のことでした。」とあります。どこのページの何行目までが「ある秋の日のこと」なのですか。

→P83.6(9行目までとも考えられる。)

(9)P83終わりの行「そんなある日のこと」は、何ページの何行目までのことですか。

→P88.8

(10)この物語で、主人公の次に大切な人を対役と言います。対役は、誰ですか。→トルトリ

(11)おじいさんの会話文は、全部で何回出てきますか。→7回

(12)7つあるおじいさんの会話を、それぞれどのように音読したらいいでしょう。

(13)「それじゃあ、どうすればなおるんじゃ。」と言ったとき、おじいさんは、ふとんから顔を出していますか。出していた○、出していない×としてノートに書きなさい。

→×(次の行で改行してから「出しました。」とある。)

(14)おじいさんは、何年生きたと予想されますか。文から答えと証拠を見つけなさい。

→10回転んだと思われるので30年長生きした。

(15)ぬるでの木のかげで歌ったのは、誰だったのでしょうね。→トルトリらしい。

(16)P82の歌とP86の歌を同じように読んでいいですか。

→P82おそるおそる、P86明るく

(17)この物語を4コマ漫画にして絵をかいてごらん。

→①ころんだ(起)②病気になる(承)③わざところぶ(転)④元気になる(結)

(18)この物語の内容に合う諺はなんでしょう。

→『病は気から』主題である。

 

Ⅳ「ねずみの作った朝ごはん」(光村3年下)

 

(1)主人公は誰ですか。→歯医者さん

(2)ねずみは、何人家族ですか。

→子ねずみが8匹、母ねずみ1匹で9匹と考えられる。

(3)このお話の季節は、いつでしょう。

→春。(5月とある。)

(4)ねずみは、何を食べて虫歯になったのですか。

→あまいもの。

(5)つくろいものをしてもらった靴下は、右?左?→1足である。(P90?8にある。)

(6)ねずみの朝ごはんの何品(何種類)いただきましたか。→7品(最後のお茶をつけると8品)

(7)「ねずみの手はどれもみんな、小さくてやさしくて温かでした。」という文の「みんな」とは何ですか。→握手したねずみの手。

(8)上の文で、最も強く感じたのは「小さくて」「やさしくて」「温か」のうちどれですか。

→全部。(「、」でつながっていないから。)

(9)「ありがとう。」「ありがとう。」はだれが言った言葉ですか。→歯医者さんと考えられる。

 

Ⅴ「注文の多い料理店」(宮澤賢治 作)発問のみ

 

(1)登場人物ならびに中心人物は?

(2)このお話の季節は何か。

(3)「案内してきた専門の鉄砲打ち」と「蓑帽子をかぶった専門の猟師」は、同一人物か。

(4)「注文」は全部でいくつありますか。

(5)2人の紳士が、食べられるのは自分たちだと気付いたのは、どの注文ですか。

(6)不思議な出来事(ファンタジー)の始まり(入口)はどこからですか。

(7)不思議な出来事(ファンタジー)の終わり(出口)はどこですか。

 

Ⅵ「モチモチの木」(光村3年下)(発問のみ)

 

(1)登場人物並びに主人公は?

(2)P49.11〜P50.1の文を正しい主語述語の文に書き直しなさい。

(3)「もう五つ」と「まだ五つ」は、どう違いますか。

(4)豆太にしか見えないモチモチの木は、どんな木なのですか。

(5)昼と夜ではモチモチの木は豆太から見て、どう見えるのですか。

(6)豆太がモチモチの木をこわくなくなったのは、どこのところからですか。

(7)豆太は、勇気のある子供なのですか。

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