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花咲くアーモンド(アルガルヴェ)


 随分と昔から語り継がれているこのお話、まだアルガルヴェがモーロ

に属していたころ、浅黒い肌をした勇敢なモーロ人の王様がおりました。

彼は、ヨーロッパ北部のある美しいお姫様をお嫁に迎えることになり

ました。遠い北の果ての地からやって来た、そのお姫様の髪の色は美し

く明るい金色に輝き、瞳は深い青い色。言葉も通じず生活の習慣も異な

る奇妙なものでしたが、人々はそんな違いはものともしませんでした。

というのは、彼女がお嫁に来ることが決まってから、王様がとても幸福

そうにしているのが分かったからです。

皆お姫様を心より歓迎致しました。

その余りの美しさに、ギルダという名のそのお姫様は「北の美女」と

呼ばれました。

 

 婚礼を祝う盛大な宴が連日開かれました。人々は歌い、踊り、結婚を

喜びました。何日も何日も。

宴が終われば、王様のこの恋も少しはさめるかもしれないと思われたの

ですが、そうではありませんでした。この贅沢豪華な宴の前に他にも

もっと美しい妻たちが王様にはおりました。彼にとって、美しい女を

手に入れることが人生の真実であるというわけではありませんでしたが、

しかしギルダは例外でした。この長く美しく編んだ金の髪と深い青い瞳

を持つ若い姫は、今まで出会った他の誰とも違いました。不思議な魅力

のそよ風で王様を幸せな雰囲気に包み込みました。

このようにして、この夫婦の間には愛が芽生えたのでした。

 

 王様の恋はそれまでに考えられないほど強いものでした。

一番新しいこの妻には今までと違いあらゆる愛情を持って接しました。

良き夫となり、いつも彼女に心を配り、日毎に彼女に愛の証となる何か

を与えました。豪華な贈り物や、珍しい動物や、美しい音楽などを。

普通であれば、これは妻にとって充分幸せであるはずでした。しかし

なぜかギルダは深い悲しみにすっぽりと包まれたままで、どうしたら

いいのか分からないのでした。

 

 それから王様は何度も、この美しい妻が窓辺に立っているのを見かけ

ました。その瞳は遠く北方の地平線をいつも見つめていました。

ある日王様は彼女に近づき、この最愛の妻の心に影を落としている深い

悲しみは何かを探ろうとしました。そして真実を知り驚きました。

若いこの妻は自分の生まれ育った国を想い、強い郷愁に包まれていたの

です。毎年冬になると広がる白い雪の平原が懐かしく恋しく、それ故

悲しみから抜け出せなかったのでした。

 

 時が過ぎました。

 

 ある朝、若い姫はいつものように窓辺に近づきました。

外の景色に目をやると、思わずああ、と叫び手を合わせました。

王様のほうを振り返った姫の表情は今までになく美しく、

それまでに決して見せたことのない微笑みに輝いていました。

その窓の外−

窓の外には、白い花が大地一面に咲いて、何と美しいこと!

まるで彼女が幼い頃から愛していた遠い故郷の雪景色を見るようです。

姫のあまりの悲しみを見かねた王様が、アルガルヴェ全土にアーモンド

の木を植林するよう命令を下し、春になってその白い花が一斉に

咲いたのでした。

 

 北の美女はすっかり嬉しくなり、彼女を長い間苦しめていた憂鬱から

解き放たれました。悲しみは消え去り、自分をこんなにも愛してくれて

いる王様と共に暮らす幸せをかみしめました。

それから毎年、春になると、彼女はお城の窓辺に立ちアーモンドの花の

その美しい景色を眺め、故郷の雪景色を思い出しながらうっとりと時を

過ごしたということです。

 

 だからアルガルヴェにはアーモンドの木がたくさん。

今でも、アルガルヴェではアーモンドで出来た美味しいお菓子が

たくさん売られているのです。


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