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お気楽ジョアン師 (Frei
Joao Sem Cuidados)
お気楽ジョアン師はその名の通り、陽気で親切な修道士でした。何ごとにも悩まずちょっぴり怠け者。太っちょで赤ら顔、無邪気な
子供のような青い大きな瞳は優しい光に満ちています。
雨が降ろうと雷が鳴ろうと、ジョアン師にとっては毎日が神様を
賛美する素晴らしい日々でした。
さてある日、
突然王様から王宮に来るようにとお呼び出しがかかりました。
「お前は人生になんにも悩みがないそうだな。」王様は言いました。
「はい、その通りです! 陛下。」ジョアン師はニコニコと微笑み、
大きなお腹に手をのせて答えました。わざわざこうして王宮にお呼
び下さるくらいだもの、きっと金の硬貨かなんか、ああ、いやいや
もっといいもの、もしかしたら美味しい子豚の丸焼きを、王様が
これからプレゼントしてくれるに違いない、くらいの気持ちで。
「それは、変だな。」王様は苦々しくこう言いました。
「お前はただの修道僧だろう。
なのにそんなにも幸せな気持ちなのはおかしい。
私は、自分の人生を考えるとこんなに不安になるのに!」
王様がこのように話している間に、ジョアン師の顔からは次第に
笑みが失せていきました。
「よし、明日もう一度この王宮に来るのだ。
お前に3つの質問をしてやる。必ず答えるのだぞ。」
「どのような質問をされるのですか、陛下。」
ジョアンはすっかり不安になり、こう尋ねました。
「最初の質問は『海にはどのくらい水があるか』だ。
二つ目は『月の重さはどれくらいか』。
そして三つ目は『私が何を考えているところか』。
必ず答えるのだ。もし答えられなければ、お前を殺してしまうぞ。」
お気楽ジョアン師は王様に別れを告げ、宮殿をあとにしました。
この時には彼の表情はもはや「お気楽」ジョアンとはとても言えま
せんでした。王様が思い切り脅かし、大きな悩みを彼に与えたの
です。翌日、いったい王様に何とお答えすれば良いのでしょうか。
どうしたらよいのでしょう。
彼は、いつもとっても陽気で機嫌良くニコニコしています。
でもこの時ばかりはその顔は不安でいっぱいではた目にも哀れみを
もよおすほどでした。そこに、古くからの友人である粉ひき屋が
通りかかりました。
「おう、ジョアン! いったいどうしたんだい。
まるで誰かが死んじまったような顔をしているぞ。」
ジョアン師は粉ひき屋に王様と話したことを語って聞かせました。
陛下がおよそ答えることの出来ないような難問を彼に与えたこと。
彼はその難問に対して翌日王宮に答えに行かなくてはならないこと。
答えられなければ殺されてしまうこと。
そのためすっかり落ち込んでしまっていることを。
「なあんだ、そんなことかい? ようし、わかった。
お前の着ている服を俺によこしなよ。明日王宮に行くのは俺さ。
なあに、心配するなって。
王様の質問にはばっちり答えておくからさ。」
翌日、粉ひき屋は修道士の服を着て、頭にはすっぽり頭巾を
かぶって王宮に現れました。王様はジョアン師と粉ひき屋が入れ
替わっていることにまったく気がつかず、すぐさまこう質問しました。
「さあて、来たな。答えてもらおうか。
『海にはどのくらい水があるか』?」
「はい、陛下。これはとても簡単な質問でございます。
しかし、海にはどのくらい水があるかはかる前に、海に流れ込む
川の水と海の水の区別をしなくてはなりません。そのためには水が
流れ込まぬよう、全ての川の出口に堤防を築かねばなりませんが、
堤防を築いて下さいますか。」
王様は困ってしまいました。
「ふむう、わかった! これはよしとしよう。
じゃあ、『月の重さはどれくらいあるか』? こいつはどうだ。」
王様は質問を続けます。
「はい、陛下。月の重さはきっかり1キログラムでございます。
月はそれぞれ4つ(quatro)の1/4部分(quarto)で成っておりますので、
合計1キログラム(quatro quartos)ということで。」(注)
こう粉ひきは答えました。
「うむ、いいだろう! その通りだものな!
しかし、じゃあどうだ!
お前は今、私が何を考えているのかわかるか!」
王様はさらに強い口調で粉ひき屋につめよりました。
「私どもの陛下は、お気楽ジョアンと話をしているとお思いです。
しかしながら、実は粉ひき屋と話をされているのですよ。」
粉ひき屋はそう言い放つと、ジョアンの服をさっと脱ぎました。
3つの質問に見事に答えられ、王様はその英知にびっくり。
何も言えませんでした。
粉ひき屋はそのまま、揚々と王宮をあとにしました。
お気楽ジョアン師は命が助かり、その後もお気楽に暮らしたということです。
(注:分かりづらい説明で申し訳ありませんが、quartoというのには
寝室という意味と1/4と言う意味があり、月がその見た形を4つに
変えることから、それになぞらえた表現であるとのことです。)