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アルジュバロータのパン屋


 彼女の名はブリテス・デ・アルメイダといいます。ファーロで

労働者の両親のもとに生まれました。両親は貧しく、小さな食堂を

経営して生計を立てていました。小さい頃からその髪はちぢれ、鉤鼻、

ひどく歪んだ唇、えらが張り、骨張った醜い顔つきをしていました。

両親は彼女が誕生した時、これで自分たちの仕事を手伝ってくれる

女の子が出来たと歓喜しました。しかしそれは大間違い。

彼女はとても短気で怒りっぽく、喧嘩が大好きで、貧しい両親が

ワインの大樽を動かしたり、お客さんに食事を運んだりするのを

手伝うことなんか全くありません。それよりも遊び歩くことのほうが

ずっと好きでした。棒を持ちあるき、よく遊びで喧嘩をしましたが、

彼女に挑戦する少年で勝てる者はいませんでした。

 

 彼女が26歳になった時、両親が亡くなりましたが、彼女は全然平気

でした。これで全くの自由。誰も私を咎める者はいない。

ロウレに両親が残したわずかな遺産と小さな家を売り払い、家畜を

買って旅に出ました。

 

 村から村へ、市場から市場へと渡り歩き、行く先々で出会う男達、

それが浮浪者であろうと、兵士であろうと、旅の僧であろうと、

乞食であろうと誰とでも一緒に寝ました。屋外で眠り、パンと

オリーブを食べて飢えをしのぎ、行く先々で剣の代わりに棒を使い、

挑戦してくる相手を全て倒しました。この結果、彼女が強くて勇敢だ、

と言うことでとても有名になったのです。

 

 あるアレンテージョの兵士が、ポルトガル南部にとどろくブリテスの

名声に惚れ込み、彼女を探し出して結婚を申し込みました。

しかしながら彼女は、すっかり独立して過ごしている今の人生がとても

好きであったので、この結婚には全く興味がありませんでした。

どんなに口説かれても、心はなびきません。でもとうとう、ある条件つき

ならば、結婚をしてもいいと言いました。その条件と言うのは、

彼女と闘うこと、そして彼女に勝つことが出来た場合のみ、結婚すると

言うものです。闘いの結果、兵士は敗北し傷つき、死んでしまいました。

「花婿」を殺してしまったブリテスは裁かれるのをおそれ、

その場から逃げました。ファーロに向かい、スペイン行きの船に

乗ります。ところが途中モーロ人の海賊に遭ってしまい、モーリタニアに

奴隷として売られてしまいました。

 

 奴隷の主人はもう既に2人のポルトガル人の奴隷を使っていました。

ブリテスは逃亡をたくらみ、他の2人と組んで主人を殺すことを目論み、

殺人のその最初のチャンスでうまく胸に短剣を貫きました。

ポルトガル行きの船に乗りましたが、その旅はもの凄い暴風雨のため

困難を極めました。舵を取るものもおらず、帆はボロボロで、船は

あてもなく海を日々さまよいました。そしてとうとう、エリセイラの

海岸に偶然辿り着くことが出来ました。

 

 ブリテスはいまだに兵士殺しの罪で指名手配中だったので、生き

延びるために男の服を着て髪を切りました。見かけが男なので、ロバ引きの

配達人になることが出来ましたが、彼女の喧嘩っぱやい性格から更に

2人の同業者を殺してしまいました。彼女はリスボンの牢獄に送られ

ましたが、うまいこと逃げおおせ、アルジュバロータに行きそこで

パン屋の助手となりました。

 

 そこの主人はまもなく死に、彼女はパン屋を手に入れました。

戦争が1385年8月14日に始まり、近隣のポルトガルの民は高い山の

上でこの戦争を見ていました。武器のぶつかる音、馬のいななき、

叫び声、血の匂い・・・・ものすごい混乱の中ついに宿敵カステラ人が

負けました。この勝利は独立と言う点でとても意味のあるものでした。

カステラ人たちは散り散りに逃げましたが、ポルトガルの民は

彼らに襲いかかり、逃げおおせた者は余りいませんでした。

ブリテスは群衆の指揮をとり、かまどのパン焼きヘラで武装し、彼女に

近づく者全てをやっつけ殺してしまいました。

 

 さて、戦いに疲れてボロボロの服をまとい髪を乱して家に戻った

ブリテスは、何か不穏な匂いをかぎつけました。

何かがおかしい。何だろう。

そして、すぐに逃亡したカステラ人がそこにいるのではないかと

悟り、かまどに向かって走り、その扉を開けました。

開けてびっくり。果たしてそこには、7人のカステラ人の兵士達が

入っていたのです。

「出てこい、お前たち、おい!」

そう言っても、おびえてパニックに陥ったカステラ人達は寝たふりを

して出てきませんでした。そこでブリテスは大きなパン焼きヘラを

手に取り、何度も何度もかまどの中に突っ込んで、兵士全員の首を

切って殺してしまいました。

 

 この後、我が国を守ろうとブリテスは群衆の女たちの指揮を取り、

あちこちに逃げ隠れている敵達を追跡したと言うことです。

 

 それからブリテスの人生は落ち着いたものとなり、羊飼いと結婚

しました。あの日、彼女がかまどでカステラ人たちを殺した事件は

ポルトガル人たちの記憶から消えることはありません。彼女の行動が

どんなに野蛮であったとしても、「王国の独立」のシンボルとして

語り継がれるようになったのです。

これが有名なアルジュバロータのパン屋のお話です。

 

*ちなみに、スペインのカタルーニャ地方にも、パン屋の女が7人

のカステラ人を殺したと言う、全く同じ伝説があるそうです。

 

*ブリテスはポルトガルで有名なヒロインですが、いやあ、

 こんな話であったとは知りませんでした。(^^;)


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