「ねえねえ、マリシオが来てるよっ。これから来るって。」と言うとスザンナは
「金曜日に帰るって言ってたけど、ジャンナの話聞いて早めたんだね。」と言います。
ジャンナはとても驚いて「嬉しい・・・・。」と呟きました。
それから15分ほどして、マリシオとアンゲリーナがほぼ同時に到着。
「マリシオ!」
「マリシオ!」
「マリシオ!」
「オーラー!ずいぶん長いこと会っていなかったね!」
おでこの広いマリシオの髪は暫く見ないうちに肩まで伸びていました。
「元気だった?」
「元気元気! 話したいことがたくさんあるんだよ。皆元気そうだね!」
「会いたかったよ!」
歩道のど真ん中で、皆でぎゅーっと抱きしめあいます。
マリシオの使っているコロンの匂いがとても懐かしいです。
「マリシオ、びっくりしたわ。だって、もう会えずにドイツに帰ることになると思っていたから・・・・。」
とジャンナが言うと、マリシオは
「びっくりさせるために来たんだよ。ジャンナが発つ前に会わなくちゃね。」
と言ったのを皮切りに、どどどどどどどどと、しゃべり始めました。
この日のマリシオは、なんとスーツ姿。ラフな格好しか見慣れていない私たちにはとっても新鮮。
「スーツ、似合うねー。」
「リスボンはいいねえ。こんな格好で来たくなかったよ。暑いからね。」
「かっこいいよ。別人みたい。」
と言うとマリシオはニコニコして照れています。
お昼は楽しかったです。
思わぬマリシオの来訪に皆盛り上がり、イギリスの大学院の話や、
ジャンナのその後の話などをしました。
「ああ、リスボンはいいなあ。こんな美味しいイカの料理が、
たったの1300エスクードで食べられるんだ。ビールもワインも美味しいし。」
「イギリスは、そんなに大変?」
「住めばどこでも都だけどね。食べ物はまずいよ。レストランは
バカ高いし。タバコなんて、一箱1000エスクード以上もするし。」
「えーーーっ。」
「オリーブオイルやサラダオイルとかもさ、ポルトガル人とかは
ポルトガルから買って来て持ち込んでるよ。」
「油、まずいの?」
「まずいまずい。ともかく全部まずい。」
「それは油がまずければ、お料理はまずくなるよね。」
マリシオはよくしゃべります。
しゃべっている時が至福の時と言う感じ。
時間はあっと言う間に経ち、そろそろお開きの時間になりました。
皆それぞれ申し合わせたわけではないのですが、ジャンナに
お別れのプレゼントを持ってきていてそれを次々に出しました。
ジャンナは「まあ・・・。」と言ったなり絶句して、今にも泣きそう。
ジャンナに頑張ってね、またいつか会おうねと言いながら抱き合い、
それから他の皆とは近い再会を約束して別れました。
そしてその週は大忙し。
月曜はジャンナお別れ会のため皆でお昼。
水曜日の午前中には、マリシオが電話をかけてきました。
「クリ、明日会えないかなあ。」
「明日!? ごめん、明日はお昼の予定が入っちゃってるんだー。」
「そうか・・・・。じゃあしょうがないね。」
声が悲しそうです。「じゃあ、明日の朝食は?」と聞いて来ました。
翌日木曜日は11時からフランシスカのポルトガル語のレッスン。
その前に、10時00分から私より早い時間にレッスンを受けている
友達のメルセデスとフランシスカの家の下のカフェで久々に会うことに
なっていましたが、朝早くなら大丈夫かな、と思い、いいよ、と言いました。
「ダンナも多分マリシオに会いたいと思うし。」
「じゃあ、朝8時半に、クリの家のベル鳴らすよ。」
おお、早い。
「いいよ。」
「じゃあ、また明日。」
電話を切った後、
そうだ、今日の午後なら時間があるから、今日の午後に会おうって聞いてみようかな?
と思いもう一度マリシオに電話をします。
「ねえ、よく考えたら、今日の午後なら私空いてるんだけど。」
「ホント? 今日は僕買い物したかったんだよ。クリ、コロンボで会ってもいいかな。
買い物に付き合ってくれる?」
「いいよ。」
「何時がいい?」
「3時とかでもいいかな?」
「OK。」
そんなわけで、その日はマリシオとコロンボで待ち合わせ。
コロンボの軽食街で遅い昼食。
「いいよねえ、安いしうまいよ。ポルトガルは。」とマリシオは嬉しそう。
それからスーパーコンチネンテに行って買い物をしました。
「リスボンはいろんなものが安いよね。買いだめ買いだめ。」と
言いながらコンチネンテを巡ります。
「それなあに。」
「これ? 足に振りかけるデオドラントパウダーだよ。夏には必需品さ。」
「へーえ、初めて見るよ。脇の下とかのは見たことあるけど。」
「あと、これこれ、ローション。」
「そんなの、イギリスにもあるでしょ?」
「あるけどね、これがいいんだよ。イギリスのはねえ。」
そう言いながらカゴにポイポイと、4〜5本投げ入れます。
さて、この水曜日のお買い物は木曜日の朝食の代わりにと思って
約束したものだったのですが、「じゃあまた明日の朝ね。」と
マリシオに言われて「今日が明日の代わり」とは言えなくなってしまいました。
と言うわけで木曜日の朝はまたまたマリシオに会うことに。
朝8時半にピンポーンと我が家のチャイムが鳴りました。
「オーラ! マリシオ!元気そうだね。」
「君も元気そうじゃない! 長いこと会わなかったね!」
ダンナとマリシオは抱き合って、お互いの肩をバンバン!と叩きます。
近くのカフェで朝食を、と思いましたが、考えを変えてダンナの運転する車で
ウチからフランシスカの家まで移動することにしました。
フランシスカの家の下にもフレンドリーなカフェがあるのです。
ダンナは出勤時刻になったので途中で去り、それから約束していたメルセデスが
フランシスカとのレッスンを終えてやって来ました。
メルセデスは私の他にマリシオがいたのにびっくりしていましたが、
既に顔見知りだったため、ニコニコして挨拶しました。
(実はこの二人、以前グループレッスンを組んだらいいのではないかと、
紹介したことがあるのですが、おしゃべりが2人では授業が成り立たなくなる、
と言うことで結局話が潰れたのであります。
まあ機関銃2人ではやっぱり無理かも。(^^;))
(つづく)