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 新年スタジアム初観戦 2


 前半もロスタイム、もう1分くらいでホイッスルが鳴るであろうと

言う時に試合が中断しました。長引きそうな感じがしたので、余りの

冷えについにトイレに行くことにしました。(と言うのはトイレが

3つしかないのでインターバルの混雑を恐れたのであります) 

トイレに行くと同じようなことを考えたらしい女性たちが数人おり、

少し待ってから入ることが出来ました。さっきのおトイレおばちゃんに

硬貨を渡そうとするとニコニコして

「さっきたくさんもらったから今日はもういいよ。」と言います。

「はい、じゃあまた後でね。」と言って席に戻ろうとスタジアムの

階段を上がると、ちょうどさっき中断した試合が再開するところで、

アンドレ・クルシュがフリーキックをするところでした。

残念ながら入らず、前半終了。

席に戻って「中断長かったんだね。」と言うとダンナは

「うん、結構ね。」と言い「うう、さびー。俺もトイレ行こう。」

と席を立ちます。おお、ダンナがインターバルにトイレとは珍しい。

しかしこの日のスタジアムは恐ろしい冷え込みでした。まるで東京の

冬みたい。ジャケットに手を入れて貼ってあるホカロンで手を温めます。

前半はすごく良く攻めていたし、2−0だし、今日はこれはこのまま

行けるよなあ、やっぱり勝ち試合じゃないと観戦のし甲斐がないなあ、

と思いながら上のほうを見ると、息子がイネステイシェイラと

笑いながら走り回っていました。(あれなら、寒くないか。)

それにしてもその日のスタジアムは今まで見た中で一番空いていました。

だからよけいに寒く感じるのかもしれません。

前の老夫婦は寒いせいか立ち上がり震えています。

「今日はホントに寒いですねー。」と言うと

「いやいや、試合で熱くなるんだよ。」とおじさんは笑います。

 

 ダンナが戻って来て、後半が始まりました。

後半の始めの頃は変わらず良かったのですが、だんだんボールを

キープしている時間が少なくなってるような気がして来ました。

事実攻め込まれるチャンスもいくつか出て来ました。

「なんか、調子落ちてない?」

「んー、うちのクラブにはありがちだけど・・・・。」

ロドリゴ・ファブリは相変わらずいいプレイを見せ、また攻め

込まれることが多くなったからかネルソンの素晴らしい守りも光ります。

じれったい状態のままでしたが、ここでもジョアン・ピントはよく

動いていました。とにかく一時も止まっていなくて、少しでも

ボールに近づこうと走り、走り、相手を攻めるのです。

「今更だけど・・・・やっぱりジョアンピントはすごいね。」

「うん、ホントに。改めてびっくり。」

くるくると走り回っては転び、ボールを取りに行きと絶えず動いて

います。例え得点していなくても彼の存在は本当にスポルティングに

とって大きいんだなあ、と思いました。

で、相変わらずアコスタは罵声を浴びています。嘲笑も時々飛びます。

見ていて気の毒なくらい。ああ、頼むから頑張って1点くらい

入れてさ、いいところ見せてよアコスター! 

去年優勝した時はあれだけ頑張っていたじゃないか〜。

 

 しかしあまりにも活躍しないのに監督が業を煮やしたのか、

アコスタは遂にペドロ・バルボーザと交代になってしまいました。

(言いたくはありませんが、スポルティングのここのところの不信は

ストライカーであるアコスタが点を入れないからです・・・・。)

サ・ピントがあんな怪我をしてプレイ不可能になってしまい、

アコスタはまた確固たる地位を取り戻せる筈だったのですが、

あれだけ不振であれば変えられざるを得ないでしょう。

ペドロ・バルボーザは大好きな選手だし期待出来るので、この

交代はちょっと嬉しかったりして。

アコスタが去る時は拍手が起きましたが、それは交代に対しての

拍手か、それとも「よく頑張った」と言う意味の拍手か・・・・

恐らく前者だったのではないかと思います。

 

 さてペドロ・バルボーザが入った我がチームは少し良くなるかな?

と思いきやそれほど変わらず、パウロ・ベントが

「使われなくて悲しい」宣言を出しているトニートと交代しました。

トニートは久々の登場だったのですが、気合いが空回りしているようで

一生懸命ボールを追うのですが、全然だめ。相手にボールを間違えて

パスしたり取られてしまったりで、久々の登場なのに場内に

ブーイングが起こります。

「うう、どうしてスポルティングはいつも後半になるとスタミナ

 切れするんだろう。」と私が言うとダンナも「ホントになあ。」と

答えます。その瞬間、スポルティングのファウルが取られました。

誰の反則だろう?よく分からないでいたのですが、どうやら

アンドレ・クルシュのファウルのようでした。

(後でTVで見たら何であれがファウルなんだ、と

 アンドレ・クルシュは不満そうだった)

向こう側に見えるゴールの、敵チームの選手の立っている位置は

さっきアンドレ・クルシュがフリーキックを決めたのとまさに同じ場所。

いやあ〜な予感がします。

遠いゴールはさっきよりもちょっと見づらく、

歓声もため息も起こらず一瞬何があったのかよく分かりませんでした。

「入ったの!?」

「・・・・入っちゃったよ。」

「えっ、入ったの!? だってこんなに静かだし、相手の選手たちも静かだ

よ。」

「いや、喜んでいたってば。」

「・・・・・・・。」

場内アナウンスでもよく聞こえなかったのですが(相手チームのゴールだし) 

やはりゴールになっていたようです。

時計を見ればもうあと2〜3分もある!

「ひいい〜、やめてえ〜、こんな時に同点になんないで〜。」

「これやばいよ。あと1点入れられたらアウトだぞ。」

緊張が走る中、我がスポルティングはかなり危なかったです。

なんでなんだだろう。いつも最後の方になるとガタガタッと崩れて

しまうのは。

試合終了のホイッスルが待ち遠しく、相手に攻め込まれる度に

観客席からは怒りと呆れ返った罵声が飛びました。

(まったく何やってんだ!)

(情けないぞ!)

(バカ野郎! しっかりしろ!)と言う気持ちが大半とは思いますが

中には本気で怒っているスポルティンギスタもいました。

ヒヤヒヤの場面を何度も繰り返し・・・・・

 

ピーーーーーーッ。

 

試合終了のホイッスルが!

ひゃーっ、終わった。勝った。危なかったけど勝ったぞー。

観客席の人々は皆立ち上がり出口の方に流れて行きます。

さっきまで怒っていた人々は結果的に勝ったことで大分安心したよ

うで、皮肉と安堵の笑いを浮かべていました。

上から駆け下りてきた息子の手を握りました。

「勝ったねえ。」

「良かったねえ。」

「うんうん、勝てばいいのよ。負けなければいいのよ。」

「しかし危ねえなあ・・・・・。」

 

 スタジアムを出たら先ほどの日本人カップルがスタジアムの前で

写真を撮っていました。いいなー、仲良くて。(^^)

それに、勝ち試合で良かったではないの。折角来た試合だもん。

と思いつつ、ああ、ああ、勝って良かったあ〜〜〜、とつくづく

思ったのであります。

 

 メトロが混む前にさっさと帰らなければいけません。

早足で辿り着いたカンポ・グランデのメトロの中はもうぎゅうぎゅう。

外はとても冷えていたので、足先の感覚がなくなっていました。

リスボンでこんなのは珍しいです。

「今日はレストランローマに行こうかと思ったけど、やめよう。」

「じゃあ何かうちで軽く食べる。」

「いや、うちのすぐ近所のあの激安レストランに行こう。

 あそこならスポルティンギスタいっぱいいるしな。

 あと俺タバコ切らしたんだ。ローマだとタバコ売ってないし。」

「・・・・・なるほど。」

 

 時々行くその安いレストランは1階がバーになっており、地下が

レストランになっています。入り口にいるスポルティングファンの

ウェイターのおじさんに挨拶をし、地下を降りて席に着くと、そこには

最近遭遇するようになったベンフィキスタのおじさんがいて、息子に

話しかけて来ました。彼は痩せて乾いた皮膚をした、ちょっと

爬虫類系(^^;)の熱烈ベンフィキスタです。息子が熱烈スポルティン

ギスタと知った日から、レストランで遭遇すると、スポルティングが

いかに下らないしょうもないクラブであるかを本気で憎々しげに、

ベンフィカはいかに素晴らしいクラブかを嬉しげに語りつつ息子を

洗脳しようとするので、余り会いたくない相手ではありました。

(でもこのレストランのおじさんたちはスポルティンギスタが

 多いのであります。)

 

「お前よくそんなユニフォーム着ているな。」

(この日の息子はシュマイケルのユニフォームを着ていました。)

「いいだろう。シュマイケルのユニフォームだぞ。」

「シュマイケルは怪我していて年寄りで使いモノにならん。

 だいたい今出ていないじゃないか。」

「シュマイケルはいいキーパーだよ。」

「じゃあ今日の試合に出ていたか。」

「きょうのしあいはネルソンだよ。」

「ふん、じゃあなんでネルソンのユニフォームを着てないんだ。」

「ネルソンのユニフォームはうっていないんだ。」

「まあロクでもないキーパーだしな。」

「ネルソンはろくでもないキーパーじゃないよ!」

「大体スポルティングなんて下らないクラブのファンなんて

 とっととやめてベンフィカにしな。歴史が違うんだよ。

 ベンフィカは今まで何回優勝したと思ってるんだ。」

「スポルティングだってゆうしょうしたもん!」

「はははは。あんな18年間も全然優勝出来ないクラブ。

 偶然だね。優勝したのは。」

「いいんだ、きょねんゆうしょうしたのはスポルティング

 なんだから。」

「へえ、じゃあ聞くがね、優勝する時にベンフィカと試合が

 あったけど、スポルティングはベンフィカに負けたんだよ。

 オヤジに聞いてみろ。負けてるから。」

息子はダンナのほうを見て日本語で聞きます。

「まけたの、スポルティング。」

「・・・・・うん。」

ダンナが頷いたのを見て爬虫類オヤジは

「うはははははは。ホラ見ろ。優勝しようがなんだろが、

 スポルティングはベンフィカより弱いんだよ。しょうもないね。」

と笑い飛ばしました。

「ベンフィカなんてクソだ!」

「へえ、じゃあそのクソに12月に負けたのはどのチームだい。

 言ってみな。スポルティングだよ!」

「あれは、オフサイドがあったんだ! ベンフィカはずるい!」

「ふん、それは言いがかりだね。実力で勝ったのさ。

 で、ボウズ、スポルティングでは誰が好きなんだ。」

「アンドレ・クルシュだよ!」

「けっ、ブラジル人か。ブラジル人の力ばかり借りやがってなあ。」

(・・・・そう言うベンフィカにはブラジル人はいないのかよっ。)

「だいたいボウズ、お前はなあ、この前なんて抜かした。日本に

 帰ったら日本のサッカー選手になるだって。バカ言っちゃいけない。」

「ぼくがなにになったっていいだろー。」

「日本人なら日本人らしくピンポンでもやってな。」

 

 子供相手なのに攻める攻める。時々「冗談で言ってるんだ。」と

言いながらその顔は真剣です。ハタで聞いてるこっちがむかついて来ました。

息子はめげずに即刻言い返します。議論になっているのかどうかは

なんとも言えませんが取りあえず反射的に言い返して白熱しているので、

お店にいた他のお客さんたちが笑いながら珍しそうにこちらを

見ています。私たちも言葉に詰まっている時など入れ知恵をして

みますが、それにしても息子の即答はなかなかすごいではありませんか。

 

 結局この熱烈憎たらしいベンフィキスタは途中で去りましたが、

その猛烈な会話から、私たちの中には深い深いベンフィカに対する

更なる憎しみ?が残ったのであります。

 

「明日の試合、絶対ベンフィカには勝って欲しくないっ。」

「そうだ、どんなことがあってもベンフィカには負けて貰う。」

「あのおじさんさいていー。」

「勝ったらあの人すごく喜ぶだろうね。」

「うう、それだけはやだ。負けろベンフィカ!」

 

 ああ、きっとこうやって、ポルトガルの人々は敵クラブをどんどん

嫌いになって行くのだなあ。小さい頃からこれじゃあ、大人になると・・・・・

あちこちにいる排他的熱烈ファンとなってしまうわけだ・・・・・。

このサッカー好きな国の人たちがどんどん自分のクラブと相手クラブを

切り離して行くわけがよく分かるなあ、と思ったのでした・・・・。

 

(翌日、私たちの必死の願いにもかかわらずベンフィカは勝った。ちくしょ〜。)


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