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■テト正月について

 ちょっと懐かしいテト正月の思い出をお話しようと思います。

 妻と結婚してはじめて住んだのは、サイゴンのBinh Thanh地区にある借家でした。借家といってもちょっと市の中心部から離れた場所にある家で、広い庭があり1階に大きな事務所とキッチンと食堂、2階には居室がある立派な家でした。

 テト正月の一週間まえから、市場へ出かけてテト正月の飾りつけや料理の材料などを準備します。特に大晦日の3日くらい前から市の各所で出来るフラワーマーケットは、ベトナム北部や中国から輸入された様々な花が飾られていて、とても美しいものです。

 そんなフラワーマーケットで梅の鉢植えを買ったり、ミカンの実がぎっしりとついた正月飾りの植木を買って、シクロにたのんで家に運んでもらいます。フラワーマーケットのお店専属のシクロなので、ぼったくりや荷物をもって消えてしまうなんてことはありません・・・(笑。

 大晦日は、実家から妻の母が来て、いろいろ料理を手伝ってくれました。バインチュンなどは、マーケットで特別上等のものを選んで購入します。子供たちが来てお菓子になるようにと、果物の種やフルーツの砂糖漬けなども購入しておきます。メインの鶏料理とローストポークは早めに良い肉を見繕っておいて、大晦日に仕上げます。

 大晦日の準備が大方終わったところで、ベトナム女性たちは、キッチンの神様にお供え物をします。これは、ベトナムの言い伝えで、キチンの神様が大晦日に閻魔大王に一年間の良いことも悪いことも報告に行くとされていて、そのときに良い報告をしてもらうために供え物をするのです。

 大晦日の晩は、私の家では早めに寝てしまいます。早目といっても結局は12時近くになりますが・・・。時計が12時を回ると、サイゴン川に停泊中の船が、いっせいに汽笛を鳴らします。「ボー、ボー・・・。」という低い音がずいぶんと長く続いて、新年を祝う気持ちが高まります。

 新年の朝は、早起きしてご先祖様へお供え物をします。テト料理やお酒、伝統的なお線香などを供えた後、ご先祖を迎えるように、玄関の扉を開けます。そして紙で作ったお金や、ホンダのオートバイ、携帯電話、トヨタの自動車などを玄関で燃やします。

 これは、燃やすことによって天国にいるご先祖に届くと言い伝えられているからです。はじめは、銀紙のお金だったようですが、文化が進むにつれてオートバイになったり、最近ではコンピューターを燃やしたりしています。マニュアルもいっしょに燃やさないと困るのでは、と思っているのは私だけでしょうか・・・(笑。

 朝の儀式が終了すると、朝食を食べてしばらくはのんびりします。お昼近くになって、洋服を着替えて、家族の一番上の人物の家のパーティーに向かいます。祖父祖母の家で、家族全員が集まって、盛大にパーティーを開催するのです。

テトのパーティーの主役は男たちです。ベトナムは女性が家庭の中でとても強い力を持っていますが、それでも主要な行事は男たちを中心に開かれます。家長である長男の家に集まり、女性たちはテト正月の料理を準備し、その間に男たちはテーブルに座ってビールやブランデーを飲み、タバコをふかしながら料理が出来るのを待ちます。

 テト正月の家の飾りつけは、先祖を祭る祭壇が中心になり、テーブルには必ず二つのスイカが並べられます。その脇には春を意味する梅や桃の木などがおかれて、木の枝にはテトの伝統的な短冊が飾り付けられます。

 このテトのスイカにはベトナムの古い伝説があります。古代のベトナムの伝説の皇帝、雄王の王子が王様の怒りを受けて島流しになりました。王子は島で珍しい果物を発見して、沢山育ててその果物を販売してたいへんな富を築き、最後には雄王に許されて、皇帝になったという物語です。その果物がスイカだったというわけです。
現在でもスイカはテト正月には富と権力を象徴する果物になっています。

 子供たちのテトの楽しみは、なんといってもお年玉をもらことです。真っ赤な地に金で文字を書いたぽち袋に入ったお年玉をもらうと、子供たちはおおはしゃぎで喜びます。

 料理が並ぶと、家族全員で乾杯をして、大皿に盛られた料理を次々と小皿にとって食べてゆきます。男たちは家族の話や、サッカーの話などをしながら、モッチャムモッチャム(100%)と言ってコップのビールを飲み干してゆきます。

 バインチュンという有名なテト料理があります。もち米で作られた四角いお餅で中に肉や豆などが入っています。この料理にも伝説があります。先の雄王の16世の時に、子供たちが22人いました。その中から跡継ぎを選ぶために、一番美味しい料理を献上した王子を跡継ぎにすることになりました。

上の兄弟たちは、沢山の召使に命じて国中の珍味を集めて料理を作らせましたが、一番年下の22番目の王子だけは、自分の水田で取れたもち米を使って作った特別な料理を献上したそうです。

その料理がバインチュンです。雄王は、自分の土地で取れる米を使って美味しい料理を作った22番目の王子を気に入り、跡継ぎにしたそうです。

 美味しい料理を食べ、ビールを飲みながらパーティーは続きます。翌日はまた別の兄弟の家に行き、カラオケパーティーをしたりしながら、持ち回りで各家で楽しむのです。

私が借りていた家でも、大勢の家族が集まり、カラオケパーティーを催しました。家族のうちの一人が劇場のギタリストだったので、私が持っていたエレキギターとアンプで伴奏をしてもらって、とても楽しく過ごしました。

 テト正月は、ベトナムの家族にとっては、とても大切な、家族の絆を強めるイベントなのです。









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